2026年W杯北中米大会グループJ第2節、アルゼンチン対オーストリア戦(現地時間6月22日)でリオネル・メッシが2ゴールを決め、W杯通算得点を17・18と更新。ミロスラフ・クローゼが長年保持していた歴代最多記録(16得点)をついに単独で塗り替えた。
ところがこの「歴史的瞬間」に、世界中から疑問の声が殺到している。記録更新となった17点目の直前に、明らかなファウルが見逃されていたというのだ。しかも物議の中心にいる主審は、あの2022年カタールW杯決勝でメッシを世界王者にした審判と同一人物だった。
メッシ記録弾の直前 何が起きていたのか
前半38分、アルゼンチンMFマックアリスターがオーストリアのシュラーガー選手の背後からチェックに入り、ボールを奪取。シュラーガーはそのまま倒れ込んだが、主審は笛を吹かず、VARも介入しなかった。このままアルゼンチンの攻撃が続き、最後はメッシが左足を一閃してW杯通算17点目のゴールを決めた。
このプレーについて、元マンチェスター・ユナイテッドのGKレジェンドであるピーター・シュマイケル氏は「あのゴールは認められるべきではなかった。マクアリスターが相手選手を蹴り倒したのはフリーキックだ。VARはあの得点を取り消さなければならなかった。これは審判による明白かつ明らかな誤審だ」と強く批判した。
オーストリアのラルフ・ラングニック監督も試合後「試合を振り返って、腹が立っていることがある。シュラーガーへのファウルが取られなかったこと」と不満を口にした。バイエルンのコンラッド・ライマーは「アルゼンチンは試合を通じて700回くらいファウルをしたのではないか」と皮肉を込めて語ったという。
問題の審判はあの「カタールW杯決勝の主審」だった
今回の試合の主審はアミン・モハメド・オマール氏だが、SNSで特に大きく注目されたのはアルジェリア戦(第1節)でメッシの危険タックルをスルーした主審の存在だ。アルジェリア戦を裁いたシモン・マルチニアク氏は、2022年カタールW杯決勝・アルゼンチン対フランス戦を担当したポーランド人審判である。
マルチニアク氏はアルジェリア戦の前半30分過ぎ、メッシが相手DFアイサ・マンディのふくらはぎからアキレス腱付近をスパイクで踏むような危険なタックルをした場面でイエローカードさえ提示しなかった。VARも介入せず、試合はそのまま続行されている。
「100%レッドカードだ。退場だ」「偉大な選手への特別扱い」といった批判の声が元代表選手や元審判からも上がり、ネット上では異常な炎上騒ぎになったとされる。元フランス代表でプレミアリーグ4度の得点王ティエリ・アンリ氏はメッシを擁護し「意図がなかった偶発的な接触だ。相手がメッシだから騒がれているだけ」と語ったが、批判の声を封じるには至らなかったという。
SNSでは「メッシに優勝トロフィーを渡した審判が、今大会もメッシを守っている」という見方が拡散。「2大会連続でメッシ関連の大舞台を担当した審判が、メッシの危険プレーを見逃した」という構図が、疑惑をさらに根深くしているとの声もある。
「同じプレーでも別の選手なら退場だった」という声
今大会ではすでに、同じ「危険プレー」をめぐる判定の不均衡がたびたび指摘されている。
アルジェリア戦でのメッシの危険タックルについて、オーストラリアメディアは「もし他の選手があのファウルを犯していたら、間違いなく退場処分になっていただろう。メッシがピッチに残っていた唯一の理由は、彼がメッシだからだ」という海外ファンの声を紹介している。
また、オーストリア戦では同じくアルゼンチンのラウタロ・マルティネスが、ボールがフィールド外に出た後に背後から相手を蹴るという場面があり、これも主審・VARともにスルー。「VARは休暇中か」と揶揄する声も飛んだという。
一方で、今大会ではアルミロンが「口を手で覆いながら発言した」という行為に対して新ルール(プレスティアーニ法)が初適用され一発退場となった。この判定と、メッシの危険タックルへの無処分が並べて語られ、「基準がバラバラだ」「スター選手には甘い」という批判が世界規模で広がっている。
「記録そのものへの疑問」という前例なき事態
多くの識者が指摘するのは、疑惑の判定によって「記録の見え方まで変わってしまった」という点だ。
アルジェリア戦でメッシが危険タックルをした時点はまだ1-0のリード中。もしあの場面でレッドカードが出ていれば、メッシはその後ハットトリックを達成することはなく、W杯最多タイ記録(16得点)に並ぶことも、あの試合ではなかったという計算になる。
「メッシほどの選手なら、本来こうした下駄は必要ない。偉大な選手ほど、特別な保護を受けたように見えること自体が損になる」という冷静な見方もある。記録の美しさと疑惑の構図が同時に語られるという、史上初とも言える状況が生まれている。
アルジェリア協会はFIFAに対し正式に抗議を行ったとされており、疑惑判定への批判は試合後も続いている状況だ。
メッシが歴代最多記録を単独で塗り替えたことは事実だ。しかし、その記録をめぐる判定への疑惑もまた、世界中で事実として語られている。メッシ自身がこの問題についてどう語るのか、FIFAが正式なコメントを出すのかどうかも注目されている。